シックハウス症候群をおこさない

 シックハウス症候群とは、建築資材や建具、家具に含まれるホルムアルデヒド(合板・接着剤)、有機リン(ビニル壁紙の可塑剤・難燃剤・シロアリ駆除剤など)、有機溶剤(塗料・接着剤)などが原因で、皮膚や目に炎症をおこしたり、アレルギー症状がおきること。特に小さい子どもには危険です。ひどいときには、頭痛や吐き気、うつ病の原因にもなり、発ガン性や腎臓、肝臓を害する危険も指摘されています。

 このため、建築基準法が改正され、ホルムアルデヒドを発散する建材の使用面積を制限するなど、「シックハウス対策」が強化されています。

 一方、大工が建てる木づくりの家は、無垢の木や土(壁)という自然素材を使うので、シックハウス症候群に悩まされることなく、ほどほどの気密と断熱性を持ち、健康で快適に暮らすことができます。(土壁)
 土壁は、調湿性、吸音性、保温性、吸着性などの効果があり、解体するときも簡単で、再生して使ったり、そのまま土に戻すこともできます。塗り壁の仕上げとしては、漆喰が一般的ですが、今、注目を集めているのが珪藻土(けいそうど)。海や湖の植物性プランクトンの死骸が長い間積もって化石化した天然素材で、調湿、保温、消臭作用に優れ、仕上げ材のほかに断熱材としても使えます。

通気性が高く、結露も防ぐ

 北陸は日本でも最も高温多湿な土地柄。この多湿に対する対策が建物の耐久性にとって大切な課題です。なるべく人工的なものに頼らないで、結露や湿気を好むカビ、ダニ、シロアリなどを発生させないためには、調湿性の高い無垢の木材や土壁が適しています。

 木は呼吸していますから、過剰な湿気を吸い、乾燥する時期には吐くという、紙や布、ビニールクロスよりずっと調湿性の高い建材です。ただし、接着剤で固められた合板は、木質材料といっても、調湿性はほとんどありません。

フィトンチッド効果で心身をリフレッシュ



 
フィトンチッドとは森の樹木が作り出す揮発しえ物質のことで、これを浴びることを森林浴といいます。 森の中や木がたくさん使われ、家の中にいるとかすかな香りがして、爽やかな気分になるのは、フィトンチッドが肝機能を改善するからです。また、快適な睡眠をもたらすことも知られています。ストレスが原因でおきる様々な現代病の予防や解消にも大きな効果があります。

木材はリサイクル可能な建材

 住宅建築の最近の流れは、環境との共生を実現するため、再生可能な建築資源として、木や土などの自然素材を見直しています。100年は持つ、耐用年数の長い木づくりの家オ建てることで、木の生長量が伐採量を上回って需要と供給のバランスがとれ、地球を緑豊かに保ちます。つまり、木材は伐採と植林を計画的に行うことで永久的な循環資源になるわけです。

 木材をリサイクルするには、壊した後でも再利用できるような解体と分別が大切になってきます。今までは、一気に壊すミンチ解体で大量の産業廃棄物を出していたのですが、 リサイクルや埋め立て処分に費用がかかり、不法投棄などの問題が深刻になってきました。そこで、建設リサイクル法が施行され、平成14年5月30日から分別解体と再資源化が義務付けられました。この法律に伴い、建設業許可業者でない大工も、解体工事業登録者の資格を取得し、責任をもって分別解体を行います。

 ちなみに、分別されたコンクリート廃材は再生砕石に、アスファルト廃材は再生アスファルトに、廃木材は木材チップなどにリサイクルされます。

 また、古い民家などで使われていた木材などは、昔ながらの「手壊し」で解体すれば、何度も使うことができ、環境への負荷がとても少なくて済みます。

1)屋根材・外装材等の撤去 2)内装材等の撤去 3)建物本体の解体 4)基礎・土間コンクリートの撤去

リフォームが簡単

 100年持つ家を建てるということは、人が2代、3代に渡って住み続けるということです。若いときから高齢になっても暮らしやすい空間をつくるため、家を建てるときは必要なときに増改築に対応できるように、増改築を想定した家づくりが大切です。

 その点、自然素材を使った木づくりの家は、住む人のライフステージに合わせたリフォームがしやすいという優れた特徴をもっており、リフォームのときに必要になるのが昔ながらの大工の技術です。墨付けや刻みなどの経験により、木の特性や木造住宅の構造について熟知してるからこそ、家にダメージを与えることなく、しっかりリフォームすることができます。

 また、家に長く住むためのコツは、こまめにメンテナンスをすることです。手入れをしながら、愛着をもって長く住みたいものです。

木づくりの家の仕組み

 伝統工法と在来工法の違い 木づくりの家でも工法はいろいろです。
伝統工法(軸組工法)は、工場でプレカットされた木材を使うのではなく、1本1本、木の特性を見ながら刻んだ柱や梁、桁などを組んで家を建てる工法。特徴は、太い柱や梁が表に現れる真壁造りで、柱と柱の間に水平に貫を入れて壁をつくります。

 一方、在来工法は、軸組工法ではありますが、江戸時代から存在する伝統工法とは違って歴史は新しく、木のクセに関係なく工場で均一にプレカットされた木材と補助金物を使い、柱は梁がほとんど壁の中に隠れる大壁造りで、主に筋交いを入れて耐力壁をつくる工法です。

◎継手(つぎて)・仕口(しぐち)
 伐採された木は、ある一定の長さで切られて運ばれ製材されます。長さに制限がある以上、つないで使うことになります。2つの部材を同じ方向につなぐことを継手、直交した部材をつなぐことを仕口といいます。伝統工法には、強度はもちろんデザインにも優れた継手や仕口が多くあり、大工は家の構造や強度などを考えて1つ1つ刻んでいきます。

 一般的なものをいくつか紹介します。
継手(つぎて)
蟻継ぎ(ありつぎ)
繋ぐ角材の接合部に、台形の凸凹形状の細工をして接合する簡単な方法。土台の継手には腰掛け蟻継ぎがよく使用される。
鎌継ぎ(かまつぎ)
接合面を長くして、引抜にも耐えられるように細工する一般的な継手。梁や胴差、桁、土台などの水平材には、腰掛け鎌継ぎを使用する。
金輪継ぎ(かなわつぎ)
相対する接合面に勾配と段差をつけて合体させた追掛け継ぎに、Tの形の小さな突起をつけてねじれやずれを抑え、上から込み栓(硬い木片)を打つ。強度に優れており、梁や胴差、桁、母屋、棟木などに用いる。
台持ち継ぎ(だいもちつぎ)
2つの材を上下にあわせて大ダボ(硬い木片)をはめ込んで組む。曲げや引っ張りの強度は追掛け大栓継ぎや金輪継ぎよりより劣る。梁、母屋、棟木などに使用する。
追掛け大栓継ぎ(おっかけだいせんつぎ)
相対する接合面に勾配と段差をつけて合体させた追掛け継ぎに、厚みのある側面から込み栓を貫通させて埋め込む。鎌継ぎより強度のある継手で、重荷のかかる梁や胴差、桁、母屋、棟木などに用いる。
仕口(しぐち)
蟻掛け(ありかけ)
ホゾ(部材端部につくった突起)が短いため、大梁に直交する小梁をつなぐ一般的な仕口。渡りあごに比べると強度は落ちるが、梁の上端が揃うので、板材が打ち付けやすい。
渡りあご
直交する2つの材を、互いに削って重ね合わせる方法。組み合わせ方は単純でも粘り強く、ねじれにも強い。桁と小屋梁、大梁と小梁との接合などに用いられる。
ホゾ差し込み栓打ち
ホゾを直交する材に差し込み、木栓を打つ仕口。一般的にホゾの厚みは1寸(3.3センチ)で、ホゾの長さが材の1/2以下の短ホゾ、貫通する長さの長ホゾ、長短の段のついた小根ホゾなどがある。良く使われるのが長ホゾ差し込み栓打ちで、土台や梁などの水平材に柱を接合する。


四季を感じて暮らす

 北海道や東北ほど寒くない北陸地方の気候では、高気密・高断熱の住宅でなくても、大工の技術を生かした風の流れを考えた建築方法や、暮らし方の工夫で、心身ともに豊かに暮らせます。

 例えば、住宅の南に落葉樹やツル性の植物を植えて、夏は日差しを遮り、冬は室内に日差しを取り込みます。家の周囲に木を植えると冬には寒風から家を守り、夏には輻射熱で和らげられた風を運んでくれます。21世紀には、環境を壊さず、日本の四季を楽しみながら暮らしていきたいものです。

林業を見直す

 今、日本の林業は外材に押されて採算がとれず、林業家が減少しています。手入れされなくなった森は、どんどん荒れて本来の力を発揮できないばかりか、伐採時期がきても切り出して木材として使用することができません。森を育てるために、長い年月をかけて、植林や下草刈り、枝打ちなどしっかり森を管理する林業家の役割はとても大きいものです。

 家づくりの成り立ちをよく理解し、日本の木で気候風土に合った長持ちする家を建てることが、森を育て、地球を救うことにもなります。そして、そんな家づくりを実現するのが、木の特質を熟知し、伝統の技で木を生かして 家を建てる地域の大工です。

家づくりから地球環境を考える

 環境破壊の大きなよう要因である地球温暖化は、二酸化炭素(炭酸ガス)の増加で起こりますが、その原因の1つが森林破壊です。もともと森は、自然災害の防止や、水資源の提供、大気の浄化、フィトンチッドの効果など、人間の生活環境に大きな関わりがあります。ですから、木材資源が回復するサイクル(50年以上)より長く持つ木づくりの家を建て、健全な森を回復することが、地球を守ることにつながります。